成人の3人に1人が外反母趾と言われており、その9割が女性と言われています。
最近は公園などで遊びまわる子どもも少なくなり、子どもの外反母趾も増えてきています。
外反母趾で母趾が痛い人、見た目の変形のみで痛みのない人や
足の横アーチが潰れてしまい足底が痛い人など症状は様々です。
さらに症状が足回りだけではなく、膝や股関節、腰に痛みが出てしまう場合もあります。
では、なぜ外反母趾で足以外が痛くなってしまうのでしょうか?
外反母趾と腰痛の関係性やなぜ痛くなってしまうのか?
実際の患者様の症例を交えて、説明していきます。
外反母趾とは?
外反母趾とは、母趾が示趾の方に倒れてしまい、母趾の角度が15度以上になってしまう状態です。
なぜ倒れてしまうのかというと、足の横アーチが崩れてしまい、足の横幅が広がり、開帳足になってしまうからです。
足の横アーチが崩れて、開帳足になると中足骨頭部をつなぐ深横中足靭帯がゆるみ、中足骨の間にある骨間筋が働きにくくなり、アーチ本来の働きであるクッション機能が正常に機能しなくなります。クッション機能が弱まると、足底にタコができてしまったり、ひどくなると足趾にしびれが出てしまうこともあります。
外反母趾と腰痛の関係
腰痛と外反母趾、腰と母趾、一見関係のないように思いますが、
意外と関係している場合もあります。それは何故でしょうか?
1つは外反母趾になると母趾でしっかりと踏ん張ることが出来ないことが影響しています。
本来は人間は立って歩く時に、足の指で地面を捉え、踏ん張ることが必要です。
中でも母趾は身体の中心部分にあるので、正しく歩く上では重要な役割を果たします。
ところが外反母趾になるとその母趾での踏ん張りがきかなくなるため、
身体のバランスが取りづらくなり、通常に比べて腰への負担が大きくなります。
もう1つは重心軸がずれてしまうことです。
外反母趾になると足趾をうまく使って歩くことが難しく、本来は踵・足趾の付け根・足趾の腹を使って歩く3点接地での歩き方ですが、主に踵と足趾の付け根を使って歩く2点接地での歩行になります。
2点接地歩行になると、重心軸が本来の位置より踵側に偏ってしまいます。(踵重心)
今回は外反母趾の状態がひどく、そこから腰痛に発展したケースをご紹介します。
腰痛も外反母趾も当てはまる方、外反母趾だが、腰痛がない方は参考にしてください。
症例報告
患者様情報
性別:女性
年齢:60代前半
仕事:パート(パン屋さん、スーパーの品出し)
主訴:立ちっ放しでの腰痛、裸足で歩く際の足底痛
20年前から外反母趾に悩んでおり、インソールを入れたり、足趾の体操やアイシングなどで誤魔化していたが、最近は裸足で歩くのも辛くなり、それをかばってか分からないが、腰も痛くなってきて、どうしようもなくなり当院受診。
初診
立位時にやや骨盤前傾位で踵重心。
足底の横アーチが消失しており、バニオン部分に発赤、熱感、圧痛所見がみられる。
足底にべんちを認める。
体幹の前屈時に痛みあり。
施術として、踵重心になっており、臀部、大腿後面に筋緊張が強く、整体を実施。さらにテーピングを外反母趾の改善、足底アーチの作成を目的に実施。
施術後、足底の痛みは減弱していた。
テーピングを2日程度つけたまま、かぶれないように痒くなったら外すように指導。
2診目(初診時より4日後)
テーピングをしていると裸足で歩いても少しマシだった。
そのため、腰痛もマシだったが、テーピングを外したら、また痛みが足底、腰共に出てきた。
そのため外反母趾による痛みの影響で腰痛が出てくるので、外反母趾の痛みの改善が重要と伝えて、施術を行う。
3診目(2診目より1週間後)
前回よりも期間をあけての施術のため、症状のひどい右外反母趾がテーピングを外した後、痛みが強く出たとのこと。左はほとんど痛みが出ず、裸足での歩行も大丈夫だった。右に強く出た要因として、スーパーの品出しの仕事で長靴を履いており、歩くと前に突っ込んでしまうことが考えられたので、可能なら長靴のサイズをワンサイズ小さめか、厚手の靴下を履いて、隙間を無くせるように指導。
6診目(初診時より1ヶ月強経過)
足底の痛みもほぼなかったが、長時間の歩行で右外反母趾に痛み出現。この頃には腰痛が出ることはなくなった。以前言ってた長靴での痛みもなく、働いている。
10診目(初診時より約2ヶ月経過)
自宅でテーピングを外した状態でも裸足で歩くことも問題なく行える。今後はテーピングを外した状態で痛み無く歩けるようにと、足底のアーチが再度消失しないように荷重や歩行が正しく行えるように整体や骨盤矯正を行っていく。
まとめ
医療整体、骨格矯正、体幹トレーニング、テーピングなどを組み合わせて施術を行い、外反母趾の改善を目指します。
テーピングでは
変形してしまった母趾を正しい位置に戻すことも大切ですが、それ以上に崩れてしまった横アーチの改善と予防が大切だと考えています。
テーピングでは個人差がありますが、現在の変形から約30%改善していきます。
30%改善すると、指先に踏ん張る力がついていき、足裏全体の筋力がついてきます。筋力が鍛えられると崩れてしまった横アーチが改善していき、足のクッション機能がしっかりと働くようになり、歩行時や立ち上がりなどで起こる衝撃を吸収してくれます。吸収できるということは股関節や膝関節、骨盤への負担も小さくなり、痛みが出る可能性も減っていきます。
つまり横アーチを形成し、足裏のバランスを調整することがテーピングで最も大切なことです。
ただ足へのテーピングだけでは不十分で、矯正専用ベッドを用いた骨格矯正などで骨盤前傾へのアプローチ、医療整体などで腰などの筋緊張を取っていき、腰痛へのアプローチも行い、同時に重心位置を正しい位置に変えていき、痛みや負担が出にくい身体へ改善していきます。
腰痛でお困りの方で
足元を見た際に外反母趾と感じた方は一度当院にご相談ください。